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残業代がいよいよ150パーセントに引き上げ!!

法定割増賃金率の引き上げとは

「割増賃金率が50%以上に」と聞くと、大企業にお勤めの方は「え? ずっと前からでしょ?」と思われるかもしれません。一方で中小企業の事業主や給与計算業務を担う方は「そんなこと急に言われても!」あるいは「ずっと猶予されないのか…。コロナ禍で大変なのに…」と感じられるのではないでしょうか。

さかのぼること12年前、2010年に労働基準法が改正され、割増賃金率が引き上げられました。中小企業については、企業経営に与える影響が大きいことから、これまで適用が猶予されていたのですが、2018年の労働基準法改正において、いよいよ猶予措置が廃止されることとなりました。

(参考)働き方改革関連法のあらまし (改正労働基準法編) – 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

2023年4月からどう変わる?

労働者に時間外労働(法定労働時間を超える労働)、深夜労働または休日労働をさせた場合、通常の賃金に一定率以上割り増しした賃金を支払わなくてはなりません。

現在定められている割増賃金率は以下のとおりです。

これまで、(※)の部分は大企業のみの適用でしたが、2023年4月1日から中小企業にも適用されることとなります。

新たに適用される割増賃金率は「賃金の決定、計算及び支払の方法」に関する事項であるため、就業規則への記載が必要です。

代休休暇について

1か月に60時間を超える時間外労働を行なった労働者に対して、次の事項を労使協定で定めることにより、割増賃金の支払いに代えて、代替休暇を付与できます。ただし代替休暇を付与した場合でも、現行の25%以上の割増賃金の支払いは必要です。

労使協定で定める事項

1)代替休暇の時間数の具体的な算定方法

代替休暇として付与できる時間数=(1か月の時間外労働時間数−60)×換算率

(2)代替休暇の単位(1日単位、半日単位、1日または半日単位の選択制)

(3)代替休暇を付与できる期間(月60時間を超える時間外労働があった当該1か月の末日の翌日から

   2か月以内)

(4)取得日の決定方法、割増賃金の支払日

仮に前出の方が1か月に76時間の時間外労働をした場合、代替休暇として付与できる時間数は(76−60)×0.25=4時間となり、半日の代替休暇を取得することが可能になります。

労使協定で「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて付与できる」と定めた場合は、例えば時間単位の年次有給休暇と合わせて1日または半日の休暇を付与することもできます。

代替休暇の取得は労働者の意思によるものですが、代替休暇の付与を選択肢に入れるため、労使協定の締結を忘れないようにしましょう。

また、代替休暇は「休暇」に関する事項であるため、制度を設ける場合は就業規則にも記載が必要です。